園長だより 4月号

自分の意思を伝えられる子どもに! ~ハイ・イイエの語源に学ぶ~

園長 中村 洋志

木々の葉が緑に映え、周りの景色も一段と明るさを増しました。新しく入園した子どもたちも交え、新しい年度が始まりました。入園・進級おめでとうございます。本年度もよろしくお願いいたします。新たに入園されたお子さんには、一日も早く園生活に慣れて、様々な経験を通す中で大きく成長してほしいと思います。在園児のお子さんも、それぞれお兄ちゃん・お姉ちゃんになり、園での生活を楽しんでいるように感じられます。この季節は、植物や動物はもちろん、人間にとっても希望に溢れる時期です。保育園の一日は、保育者からの問いや名前呼びの際にも「ハイ!」と手を挙げ、大きな声で返事することから始まります。入園当初は、まだ返事が出来なかったり、恥ずかしそうにしていた子どもたちも、次第に「ハイ」と大きな声で返事が出来るようになります。中には、思い余って、「ハイ・ハイ・ハイ・・・」と連呼する子もいますが、何とも微笑ましい光景です。

かなり以前、萩谷朴著「語源の快楽」という本で、日常何気なく使っている「ハイ・イイエ」に関する記述に出合ったことがあります。肯定・応諾の意志を示す「ハイ」という言葉は、「唯(ユヰ,ヰ)」という語源から来たのではないかということです。「唯諾」、「応唯」、「諾唯」などの熟語に見られますように、承諾順応の意を表す「唯」であるということです。「イ」の上に付けられた「ハ」は、民謡などを唄う際に使われる「ハアー」と同じように、単語に先だって声調を整えるための掛け声ともいうべき「接頭語」であるということです。「イ」だけでは素っ気なく、失礼に当たるということで、「ハイ」の二音節にした丁寧な言葉であるとのことです。一方、「イイエ」は、「イヤ・イナ」などと同じように、拒否語の「イエ」に、発語に先だって語調を整えるための母音接頭語の「イ」を付けて、丁寧語にしたものではないかという説が有力とのことですが、興味深い解説に感心させられました。

特に、まだ「ハイ」と返事出来ないお子さんが、名前を呼ばれて、手を挙げて意思表示している姿には、それだけで感動します。意思表示の仕方には言葉以外にも様々あります。子どもたちには、他者を傷つけないように配慮しながら自分の意思を表明することの大切さと同時に、様々な手段を用いて、自分の考えていることや思いを、相手にしっかりと伝えられるように成長してほしいと願っています。

本格的な春を迎え、これからますます過ごしやすい日が続きます。楽しい園生活を送るためには、健康であることが、何よりも大切なことです。私たち職員一同は、子どもたちの年齢や体調等に応じながら、この大切な出会いを大切にし、様々な体験をすることを通して、「逞しい体と、優しい心づくり」を目指して取組を進めてまいります。