園長だより 12月号
親の会話を聞いている!~僕、生まれてきていけなかったの?~
あっという間に12月を迎えました。11月21日(土)は、れいわ保育園の発表会でしたが、それぞれの個性を発揮しながら精一杯のパフォーマンスを披露してくれました。12月13日(日)は、てんてん保育園の発表会です。どんな発表会になるか、今から楽しみです。子どもたちの可能性に期待せずにはおられません。
さて、師走の声を聞くと、何となくせわしい気分になりますが、こんな時こそゆったりとした気持ちで過ごしたいものです。ただ今年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、気の抜けない毎日だったように思います。たまには、収束の日が来るのだろうかとため息をつきたくもなりますが、目の前にいる子どもたちは相変わらずパワフルに過ごし、いつも私たち職員に元気や癒やしを届けてくれています。
定期購読している「生命尊重ニュース」の中に、次のような話(江戸川双葉幼稚園、菅原久子園長)が掲載されていたことがあります。それは、3歳の孫を持つお祖母ちゃんの話でしたが、今でも強く印象に残っています。
「『お母さん、僕、生まれてきていけなかったの?』寝かしつけている布団の中で、孫が突然言いました。娘が驚き、『ええっ、どうしてそんなことを言うの?』と聞くと、『だって、お母さんがいつも言っているよ。子どもを育てるのは大変だって、友達といつも電話で話しているよ。子どもがいて自分の時間がないって。僕、お母さんに迷惑かけているの?』そして、孫は、『お母さん、どうして泣いているの?ごめんなさい。好きな僕のことで心配させて。』その話を娘から聞いて、私は、胸が痛くなりました。(中略)親が何気なく話している会話を孫がどんな思いで聞いているのか。(後略)」という内容の記事でした。
静かに寝かしつけをしている、そんな信頼関係があってこそ、思わず出てきた言葉だとは思いますが、子どもたちは親や保育士など、大人の言動をしっかり見聞きしています。何気なく出てきた言葉であったとしても、子どもたちの心は純粋ですので、自分のことはもちろん、保育士や保護者のうわさ話などにも、興味を持ち、ちゃんと聞いていて、それなりの反応をすることがあります。ついつい、ため息をついたり、愚痴を言いたくなったりする時もあると思いますが、健やかな成長を促すためにも、せめて、子どもたちの前では自制心を発揮していただきたいと思います。何といっても、子どもたちは、自分の親が一番大好きだし、一番影響を受けている存在ですから。
子育ては、親の思い通りにはいかないことが多く、心身共に疲れ果ててしまうことがあるのも事実です。思い悩んだりすることもあるかもしれません。しかし、大人の何倍ものスピードで成長していく彼らを見ているとその疲れも吹き飛んでしまうことも多々あります。子どもたちはそんなことは意に介せずに、今日もエネルギッシュに過ごしていますが、この中から鹿児島県を、日本を、世界を変えるような人材が出てくるのかもしれません。どの子も素晴らしい可能性を秘めた素敵な存在なのです。目の前の一人一人のお子さんの大いなる飛躍に期待したいと願っています。そんな夢を抱きながらゆったりとした気持ちでこの年末を過ごしたいと考えています。
来年が、皆様方にとりまして今年以上に素晴らしい年になりますように祈念いたします。どうかよいお年をお迎えください。
園長 中村洋志