園長だより 2022年10月号
子どもたちの成長に期待! ~みんな大人を超えていく存在~
野山は少しずつ秋の装いになり、柔らかい風が吹く、絶好の季節になりました。子どもたちは、爽やかな秋空のもと,みんな元気に過ごしています。子どもたちは,何事に対しても懸命に取り組みます。その姿を見ているだけで、子どもたちの素晴らしい一面を感じることができます。心身共に逞しく成長してほしいと願うばかりです。
時折、「早く集団生活の中に入れれば、早く社会性が身に付く」という言葉を聞くことがあります。その側面があることは否定しませんが、「社会性を育てる基盤は家庭にある」と考えています。「親子の何気ない会話や親との関わり方が大切であり、親との普段の関わり方が基本となる」と考えているからです。それがあって初めて安心して家族以外の人たちとも関わっていけるのだと思います。その経験があれば、保育園や幼稚園・こども園も、本来の役割や機能を十分に発揮することができます。「家庭との連携」の重要性が言われる所以です。子どもたちは、家族や知人、保育園や幼稚園・こども園の職員、地域の方々との交わりの中で、基本的な知識や技能、社会性等を身に付け徐々に成長していきます。
自分の子どもは、なかなか自分の力だけで上手に育てることはできません。両親以外の周りの方々や公的な機関等の支援も含め、様々な方々の支えの中で少しずつ成長していきます。また、子育てには一つだけの正解というものはありません。個々の家庭、個々の子どもによって対応が違ってくる場合が多いからです。私自身の拙い経験から言えば、子育ては、結局は自分自身の成長につながるということです。つまり、「子どもとともに親も育っていく側面」を持っているといるのです。子どもたちだけに要求するのではなく、自らも学んでいく姿勢があれば、ちょっとした子どもの成長を実感し、それを喜びに変えることができるのではないでしょうか。
73歳まで現役教師として活躍し、98歳で亡くなられた、教育界では知らない人はいないほど著名な「大村はま」さんは、「先に生まれた私が先生になりましたが、子どもの方が私より劣っているいるなんてことはないんです。劣ってなんかいないで、年齢が小さいだけなんですね。私の教えている子どもが私よりも上でなくて、私ぐらいのところで止まっていたらどうしましょう。たいへんですね。ですから、子どもはほとんど全部、教師よりすぐれていると思って間違いなしです。年が小さくて、子どもっぽいことに気がゆるんで、ことばが乱れたり、態度が乱れたりすることはこわいことだと思います。」という実践に裏付けされた名言を残しています。教師にとりましては、厳しい言葉ですが、受け止めなければいけない大切な言葉です。私自身も、教員時代は、この言葉を「自らの指針」にしていました。もちろん、今でも私自身の道標です。この考え方は、保育園や幼稚園・こども園で子どもたちに接する際も基盤になる考え方だと確信しています。
どの子も、やがては私たちを超えていく可能性を秘めた素敵な存在です。一人一人に内在する豊かな可能性を信じ、それを伸ばしていくための支援・援助ができればと念じながら子どもたちと向き合っていきたいと考えています。
園長 中村洋志