園長だより 6月号
教え子の成長に学ぶ!~子どもは大人を超えていく存在~
園長 中村 洋志
あっという間に2か月が過ぎ、新緑の眩しい季節になりました。6月は雨の多い季節ですが、命の息吹を感じる季節でもあります。子どもたちは、心身共に日々成長しており、そのパワフルな活動には驚かされるばかりです。この子どもたちが、やがて私たち大人を超え、鹿児島や日本のみならず世界を動かしていく存在になっていくのです。
先日5月の連休を利用して、広島時代の教え子で、広島県初の女性副知事(G7広島サミットも担当)した玉井優子さん(46歳)が当時のクラスメイトと共に、何とか休みが取れたとのことで鹿児島まで訪ねてきてくれました。彼女は大学卒業後に経済産業省に入省し、昨年7月に参事官から副知事に就任したのですが、電話やメール等でのやり取りで感じることは、名前の通りの優しい性格で、出会った頃と同じ誠実な姿勢はそのままです。私が、広島から鹿児島に転任してきた際には、同級生と一緒に子どもたちだけでわざわざ訪ねて来てくれ、私の粗末な家に泊まり、鹿児島の各地を案内したのを思い出しました。今回は、時間の関係であまり多くの場所は案内出来ませんでしたが、広島時代の思い出話で盛り上がり充実のひとときを過ごすことが出来ました。「G7広島サミットを間近に控えて激務の毎日では?」との問いに、「サミットは国が主体で、県は裏方ですから大丈夫です。」とのさり気ない返答に余裕すら感じました。G7広島サミットが無事終了し、一番ほっとしているのではないかと思います。副知事に就任しても何も変わらない姿勢に、改めて彼女との出会いを有り難く感じています。
私が体調を崩した際にも、「通産省に入って、米国留学やWTOやEUとの通商交渉、大学改革等、刺激の多い仕事を経験しています。自動車と航空機以外の機械産業全体を担当しており、日々勉強になることばかりです。相変わらず負けん気が強い性格のままなのですが、さすがにいい歳なので中村先生に教わった『大きな河はゆっくり流れる』という言葉を思い出すようにしています。(中略)コロナが落ち着いたら必ず鹿児島へお伺いさせてください。」というメールをもらいました。「今回は、行く行く詐欺にならないように約束を守りました。」とのこと、その言葉だけでも感動です。日本はもとより、世界を動かすような職務を遂行している姿に感嘆し、自分の病気のことなど小さなことだと思え、生きる勇気をもらいました。ただただ感謝です。
幼少期や小中学校時代は、「運動が得意」とか「面白い」とか「勉強ができる」など、ある程度外から見てわかりやすい側面や特性等で評価されがちです。それはそれで無意味なことだとは思いませんが、人生という長い物差しで考えれば、その人が活躍する機会はそのこと以外の領域・分野や場面で数多くあります。自分の長所には、本人が全く意識していない場合すらあります。本人の内側にある才能や可能性は、成長していく過程での多くの方々との出会い、取り巻く環境、本人の努力など様々な要因が重なり開花していきます。彼女との出会いは、改めてそのことを教えてくれました。目の前の子どもたちは、やがて私たち大人を超えていく存在です。子どもたちの内側にあるやる気に火を点け、伸ばしていけるようにサポートしていけたらといつも念じています。