園長だより 2024年2月号
大人が戻れば、子どもも戻る!
~まず大人自身が自分らしく生きる~
園長 中村 洋志
慌ただしい毎日を過ごしている間に2月を迎えました。「2月は逃げる」という言葉もあるように、あっという間に過ぎていきます。ただ子どもたちにとっては、毎日が大人の何倍もの意味を持っているようにも感じることがあります。成長のスピードに驚かされることが多いからです。これからまだまだ寒暖差の大きな日々日が続きますが、子どもたちはいつものように元気一杯過ごしており、その元気さに圧倒されています。
よく、「大人が変われば、子どもも変わる」と言われます。ほとんどの保護者、保育士・教師等の大人は、子どもたちに心身共に逞しく成長してほしいと願っています。この言葉は、まず、大人が範を示し、変わらなければならないという先人からの戒めの教えであり、大人の方に突きつけられた言葉だと考えています。自らを客観的に振り返ることのできる人は、子どもたちにだけ要求することはありません。ちょっと前までは、自分にも子どもの時代があったからです。子どもに一方的に自分の要求や願望を押し付けるのではなく、時には冷静に自らを振り返り、子どもたちの行動を分析し、大人として対応をすることが求められているのではないでしょうか。もちろん、年齢や発達状況に応じた躾や指導等、丁寧な対応をしていく必要があることは否定はしませんが、子どもは親の玩具でも付属品でもなく、一人の人間としてちゃんとした人格を持つ、しかもこれから先を担っていく貴重な存在なのです。
十数年前、北海道帯広市に伺った際に、「大人が戻れば、子どもも戻る」という言葉に出合い、ハッとしたことがあります。本質をついた言葉・教えだと納得したのです。「大人が本来の姿に戻れば、子どもも本来の姿を取り戻す」という意味だと思いますが、大人としての在り方に大きな示唆を与えられたような気がしました。「大人の本来の姿とは何だろう」という問い掛けをされたように感じたのです。自己反省を含めて、子どもたちをその時の気分で何となく褒めたり叱ったりするのではなく、子どもたちと過ごす日々や時間をできるだけ有意義なものにしていくためにも、「まず大人自身が自分らしく生きていくこと」が大切なのだと思っています。
自分らしくといっても、それぞれ価値観が違いますので、画一的に決めることはできませんが、大人自身も、自らの人生を充実させていくための取組をしていくことも必要だと思います。そうすることが、子どもたちに対して、極端に「過保護」になったり「過干渉」になったりすることも少なくなるのではないでょうか。子どもたちは、生き生きと過ごしている大人(保護者や保育士等)の言動から多くのことを学んでいきます。
子育てには、明確な答えがない分だけ難しい面があることも事実ですが、その分の楽しさもあります。大人の何倍ものスピードで成長していく子どもたちの姿を見ていると、頼もしくもあり、楽しみでもあります。それぞれの子どもたちが保育園での出会いをより意味のあるものにし、今後に向けてさらに大きく成長し、飛躍していくことに、心から期待しています。