園長だより 7月号

みんな等しく素敵な存在!
~子どもの多様性を認める~

園長 中村 洋志

まさに猛暑の夏という感じの季節になりましたが、子どもたちは季節を問わず、パワフルに活動しています。何事にも、真正面から懸命に取り組むその姿に、私たち大人の方が励まされ、元気をもらっている毎日です。何気ない子どもたちの表情や行動はいつでも新鮮で、見飽きることがありません。どの子も、「個性=その子らしさ」を発揮しながら、「今」という時間を謳歌しているようにさえ感じます。

ここで留意したいことは、「個性的であること」と「わがままであること」は、区別して考える必要があるということです。個人差はありますので断定はできませんが、一般的に1歳から1歳半頃になると、運動能力が飛躍的に発達するため、手当たり次第に周りの環境に働きかけるようになります。この時期は、まだ心理的な自我意識はあまり芽生えていないと言われています。2~3歳頃になると、次第に心理的な自我意識が出現し始めると言われています。この時期頃から自己主張が強くなり、自分の意志を押し通そうとする傾向が見られ、友だちと小さなトラブルが起こりことがあります。いわゆる「反抗期」を迎えるのです。また、4歳頃になると、語彙力も一段と増え、だんだん自己中心的な行動が減少するとともに、他者に「合わせて」行動することができるようになってきます。さらに、5~6歳頃になると、他者や周りの状況を把握できるようになり、規範意識が芽生えはじめ、「ルールを守ること」の大切さが分かるようになり、集団行動ができるようになると言われています。我が子を見ると、どうしても他の子と比べてしまいがちになりますが、大切なことは、人と比べるのではなく、その子なりの伸びや変化を認め、励ましていく大人側の姿勢ではないかと考えています。

大人とか子どもとか、国籍とか肌の色とか性別等に関わらず、私たち一人一人は、それぞれに誰とも同じではない個性を備えています。この世界に誰一人として同じ人間は存在しませんし、これからも同じ人間が生まれることもありません。たまたま外見や性格が似ていることはあっても、まったく同じ人が存在することはあり得ないのです。自分とは違う様々な個性を持つ人間が混在して世界は成り立っているのです。そのこと自体に大きな意味が含まれていると思っているのですが、現在の世界の状況を見ると、国家間、民族間、宗教間等における紛争や対立があり、報道を見聞きする度に心を痛めています。まず、私たち大人自身が一人一人の内側にある多様性を認め合い、誰もが否定されることなく、自分らしく生きていけるような社会づくりのための努力を続けていく必要があるのではないでしょうか。

子どもたちは、集団生活を通して様々なことを学びながら大きく成長していきます。自分以外の人との関わり中で、豊かな「個性」を育み、「自分らしく生きていく基礎となる力」を培っていきます。